「不器用だから、凝ったヘアアレンジは諦めている」
「ヘアピンを使うと、時間が経つにつれて崩れてきてしまう」
毎日のスタイリングで、このような悩みを抱えていませんか?実は、崩れにくい美しいアレンジを作るのに、大量のピンや複雑なテクニックは必要ありません。必要なのは、髪の構造を理解した「ちょっとした物理的な工夫」だけです。
私はこれまで、現場での実践と検証を通じて「いかにシンプルに、かつ崩れないスタイルを作るか」を探求してきました。その結論の一つが、今回ご紹介する「ヘアゴムを起点としたアレンジ理論」です。
この記事では、ヘアゴム1本から始められる、ボブからロングまでの全11種類の簡単アレンジを、動画と画像付きで徹底解説します。
この記事の結論:ヘアゴムアレンジの極意
- 土台の安定性:ピンよりも「ゴム」で土台を作る方が、摩擦力が働き崩れにくい。
- 隠す美学:「くるりんぱ」や「毛束の引き出し」でゴムを隠すことで、プロ級の仕上がりになる。
- 長さ別の対応:ボブはハーフアップ、ロングは重さを利用したワンテールが最適解。
ご自身の髪の長さに合わせて、まずは動画で全体の流れを確認し、細かいポイントを記事で深掘りしてみてください。
1. 【ミディアムボブ】ヘアゴム一本でつくるハーフアップアレンジ
肩につくかつかないか、という絶妙な長さのミディアムボブ。「短くて結べない」と思われがちですが、ヘアゴム1本の張力を利用すれば、崩れにくいハーフアップが完成します。
※髪を極端に梳(す)いていたり、高い位置からレイヤーが入っている場合は、ワックスなどのスタイリング剤を馴染ませて摩擦力を高めてから行うのがコツです。
1-1. 前髪・おくれ毛を残し、耳上の髪を結ぶ

①②)まずは顔周りのデザインを決めます。「前髪」と「おくれ毛」として残したい髪を先に取り分けておきましょう。その後、耳上の髪をまとめて、手櫛で流れを整えます。
③④)取り分けた髪をヘアゴムで結びます。ここで重要なのが、結んだ後にヘアゴムの位置を少し下へズラすことです。この「あそび」を作ることで、次の工程がスムーズになります。
1-2. 左右片側ずつ「くるりんぱ」でゴムを隠す

⑤⑥)ここがポイントです。真ん中で一度にくるりんぱをするのではなく、「右側」を斜めに分けて空洞を作り、毛先を内側へ通します。通したら、再びゴムを少し下げて余裕を持たせます。
⑦⑧)続いて「左側」も同様に毛先を内側へ通します。左右両方を通し終えたら、ゴム下の毛束を左右にギュッと引っ張り、根元を締めます。これにより、ゴムが髪の内部に押し込まれ、自然に隠れます。
1-3. 短い髪が出てきた際の対処法(ピン留め)

⑨⑩)パラパラと落ちてくる短い毛がある場合は、無理にゴムに入れ込もうとせず、スモールピンで一つずつ丁寧に留めていきましょう。
⑪⑫)仕上げに「ヘアミスト」や「ハードスプレー」を軽く吹きかけ、表面をコーティングします。最後にコームで撫で付けるように整えれば、一日中崩れないハーフアップの完成です。
2. 【ミディアムボブ】ストレートのままできる「重ね技」アレンジ
あえて巻かない、ストレートヘアの洗練された質感を活かしたアレンジです。ヘアゴムを2本追加するだけで、手の込んだように見える「構造的なデザイン」を作ります。
成功のポイント
- 上段とは「逆方向」から毛束を通すことで、編み目のような立体感を生む。
2-1. 耳下の髪を分け、上段の毛束とクロスさせる

⑬⑭)残しておいた耳下の髪を縦半分に分けます。その毛束を、先ほど作ったハーフアップ(上段)の結び目の上で一つに結びます。
⑮⑯)ここがテクニックの見せ所です。上段では右から通しましたが、下段は「左側」から毛先を内側へ通します。交互に重ねることで、プロのような複雑なニュアンスが生まれます。
2-2. 追加のヘアゴムで全体をまとめる

⑰⑱)右側も同様に通し、ゴム下の髪を引いて締めます。
⑲⑳)最後に「上段の毛束」と「下段の毛束」を合わせ、もう一本のヘアゴムで一つにまとめます。毛束を引き締めることでゴムは自然に隠れますが、もし見える場合は上の髪を少し引き出して被せれば完璧です。
3. 【ミディアムボブ】難易度高めな「まとめ髪」を簡単にする方法
ボブの長さでフルアップ(まとめ髪)にするのは、通常なら多くのピンが必要で難易度が高いものです。しかし、ここまでの工程でしっかりとした「土台」ができているため、あとは毛先を処理するだけで完成します。
3-1. 毛先を入れ込み、3点のピンで固定する

㉑)余っている毛先を持ち、内側へ丸め込むようにして押し込みます。
㉒)押し込んだ毛束を固定するために、ヘアピンを「右端・真ん中・左端」の3箇所に挿します。これだけで、驚くほど安定します。
㉓㉔)もし髪がパラつく場合は、毛先を一度ゴムで結んでから押し込むとまとまりやすくなります。この「3点留め理論」を使えば、短い髪でもスッキリとしたアップスタイルが楽しめます。
4. 【セミロング】ヘアゴム1本で完結する「ゴム隠し」ハーフアップ
ここからはセミロング編です。髪が長くなると、ゴムを隠すために「毛束を巻き付ける」方法が一般的ですが、実はそれよりも簡単な方法があります。
私が検証した結果、ロングヘアでもボブ同様に「入れ込み式」の方が、時間が経ってもゴムが露出しないことが分かりました。
4-1. 耳上の髪を結び、左右でくるりんぱ


①〜④)顔周りの髪を残し、耳上の髪を後ろで結びます。ゴムを少し下げて余裕を作ります。
⑤〜⑧)右側を斜めに分けて毛先を通し、続いて左側も通します。最後に根元をキュッと締め上げれば、ゴムが髪の結び目の中に完全に隠れます。シンプルですが、最も実用的なテクニックです。
5. 【セミロング】首元スッキリ!大人のワンテールアレンジ
下段の髪にヘアゴムを2本追加するだけで、オフィスにも対応できる清潔感のあるワンテールに変化します。
5-1. 上下のレイヤー構造を作る

⑨)耳下の髪を半分に分け、ハーフアップ(上段)の毛束の上で結びます。
⑩)ここでもクロスさせるため、下段は左側から順に毛束を内側へ通します。
⑪⑫)表に出ている毛束と、裏にある毛束を一本のゴムでまとめ、引き締めます。これだけで、ただ縛っただけではない、奥行きのあるワンテールになります。
6. 【セミロング】式典にも対応できる上品まとめ髪
結婚式のお呼ばれや、卒業式・謝恩会など、フォーマルな場では「きちんと感」が求められます。最後に、ゴムとピン数本でできる高見えアップスタイルを紹介します。
6-1. 毛先をまとめて「点」で支える

⑬⑭)全体の毛先より少し上の位置でヘアゴムを結びます。その後、毛束自体を内側に一回転させます。このひと手間で、髪がバラけずにまとまりやすくなります。
⑮⑯)まとめた毛束を襟足の内側に入れ込み、左右からヘアピンを挿して固定します。 基本は「左1本・右1本」ですが、崩れが不安な場合は「真ん中」にもう1本追加して、3点で支える構造にしましょう。
7. 【ロング】巻き髪×ゴム隠しで魅せる華やかハーフアップ
ロングヘアの場合、髪の重さがあるため、より強固な固定が必要です。コテやアイロンでベースを作ってから行うと、動きが出て華やかさが増します。
7-1. 斜め分けくるりんぱでボリューム調整


①〜④)手順はこれまでと同じですが、ロングヘアの場合は毛量が多いことがあるため、通す穴を少し大きめに確保するのがコツです。
⑤〜⑧)左右を通して締め上げる際、トップの髪を少し引き出して高さを出すと、全体のバランス(ひし形シルエット)が整い、小顔効果も期待できます。
8. 【ロング】ストレートでも地味に見えないワンテール
ロングのストレートヘアをただ一つに結ぶと、どうしても「生活感」が出てしまいがちです。しかし、この「上下分割テクニック」を使えば、長さがあるからこそ映える、モードな雰囲気に仕上がります。
8-1. 長さを活かしたレイヤードスタイル

⑨〜⑫)下段の髪を上段にかぶせるように結び、左右から通して立体感を出します。最後に2つの毛束をまとめれば、動くたびに表情が変わる洗練されたワンテールの完成です。
9. 【応用編】三つ編みを取り入れたアレンジ
今回ご紹介したテクニックに加え、毛先を三つ編みにすることで、さらにバリエーションが広がります。
より詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。「ゴムだけでできるアレンジ」の幅をさらに広げたい方は、ぜひ合わせてご覧ください。

